2019年12月13日金曜日

第8回ブラック企業大賞2019 ノミネート企業発表!

201912月13日、ブラック企業大賞実行委員会は、2019年のブラック企業大賞のノミネート企業9社を発表いたしました(以下、50音順)。ウェブ投票も開始しましたので(~122220:00締切)、ぜひご参加ください。

1.KDDI株式会社
KDDI株式会社は契約数で国内2位の携帯電話ブランド「au」を展開する通信事業者である。
同社では2015年9月に入社2年目の20代社員が、過労死ライン以上となる月90時間を超える残業をした末に自死する事件が発生した。労働基準監督署からは労働時間のほか仕事量や勤務内容の変更、さらに指導を行った上司とのトラブルが強い心理的な負担になったと判断され、2018年5月に労災と認定された。また、同年6月には労基署からサービス残業についての是正勧告とメンタルヘルス対策の改善などについての行政指導も受けた。
さらに同社は上記社員が亡くなった後の2017年9月、労基署から長時間労働やサービス残業についての是正勧告を受けたことから全社員を対象に未払い賃金の有無に関する調査を実施。この結果、従業員4613人に対し計約6億7千万円(15年と16年の2年分)の残業代が未払いとなっていた事実が判明し、2017年11月に清算した。
こうした一連の事実について同社はこれまで公表してこなかったが、上記過労自死遺族との話し合いを経て、今年3月29日にようやく公表に踏み切ったことを明かしている。
20代社員の自死という事態の重大さ、同社によって残業代を搾取された従業員の数や金額の大きさもさることながら、日本を代表する企業が、自らの不祥事を長年にわたり隠蔽してきた行為の重さも考慮してノミネートした。

2.株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
セブン‐イレブン・ジャパンは総店舗数2万店超、チェーン全店で4兆8000億円以上を売り上げる日本最大のコンビニチェーン「セブン‐イレブン」の運営企業である。
2019年12月、同社は全国のフランチャイズ加盟店から「代行」して支払っていたアルバイト・パートらの残業代の一部が少なくとも1978年から未払いだったと発表した。対象となるのは本部にデータが残る2012年3月以降だけで8129店の計3万405人、未払い額は遅延損害金を含めて4億9000万円に上るとされる。
 同社では加盟店従業員の残業代が70年代から未払いであった事実を、2001年に加盟店が労基署から指摘を受けたことで把握。だがこの際に導入した時間外手当の計算式に誤りがあり、この後も労基法が定める5分の1の残業代しか払ってこなかった。その間、未払い賃金の精算は行わず、労基署が加盟店に是正勧告した今年9月まで違法な状態が続いていた事実も公表してこなかった。
なお同社に対して本実行委員会は2015年、主に加盟店に対する不公正な扱いを理由に大賞を授けているが、2019年には同社の加盟店オーナーが契約内容に関する告発を立て続けにメディアを通じて行い、9月には公正取引委員会がコンビニ業界の実態調査を行う方針を明らかにしたほか、11月には本部社員が加盟店に無断で商品発注していたことも発覚した。
ただでさえ低賃金にあえぐ非正規労働者の賃金を永年にわたり搾取し、その事実を隠蔽したことの重大性に加え、対加盟店の関係でも依然多くの問題を抱える同社の状況を憂慮し、再びノミネートした。

3.株式会社電通
株式会社電通は広告代理店として日本において最大手企業である。
報道によると、2019年9月、同社は、2018年の社員の違法残業や、残業時間の上限を定める労使協定(36協定)の違法な延長などを指摘され、労働基準法と労働安全衛生法に違反したとして三田労働基準監督署から是正勧告を受けたという。周知のとおり、同社は、2017年10月に労基法違反の有罪判決が確定している。それにもかかわらず、その後の状態について是正勧告が出されたことになる。既に、同社は、2010年から15年にかけて、全国各地の労基署から是正勧告を受けている。
さらに、2015年12月には、新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が自死し、2016年9月に労災認定されている。電通では、「殺されても放すな、目的完遂までは……」などの『鬼十則』に象徴される経営側の精神訓の下、16年前には入社2年目の男性社員の自死が過労死と認定され、6年前にも30歳の男性社員の病死が過労死と認定されている。こうしたことから「ブラック企業大賞2016」の大賞を受賞した経歴もある。
このように、同社は多数の過労死の被害者を出し、労基法違反の有罪判決を受け、社会的にも大きな批判にさらされているにもかかわらず、再び複数の違法行為で労基署から是正勧告を受けたという悪質性に鑑みノミネートした。

4.株式会社ロピア
株式会社ロピアは神奈川県藤沢市に本社を置き、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県に47店舗(2019年11月現在)を出店するスーパーマーケットチェーンである。
同社では2018年6月、ロピア店舗の食肉部門に勤務する男性が、3000円相当の精肉商品をレジで精算することなく持ち帰ったところ、会社が警察に通報して懲戒解雇処分とした。さらにこの男性の自宅付近の店も含む全店舗において、男性を名指しの上で「窃盗を理由に懲戒解雇した」という掲示を行った。
男性は会計せずに持ち帰ったのは単なる過失であったと主張し、解雇の撤回などを求め横浜地裁に提訴。2019年10月10日には裁判所がその訴えを認め、解雇の無効と解雇日から判決までの給料支払い、さらに掲示による名誉毀損の慰謝料として77万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
さらにこの裁判を通じては、男性が経営に関する権限がない一般従業員であったにもかかわらず残業代が支払われない「名ばかり管理職」であったことが確認され、横浜地裁は未払い残業代約100万円の支払いも命じている。
わずか1つの事件のうちに、ブラック企業でありがちな事象がいくつも見られる事例であることからノミネートした。

5.長崎市
長崎市は、地方自治法1条の3に基づく普通地方公共団体である。同市では、2007年7月、原爆祈念式典に向けての取材にあたる女性記者に同市の原爆被曝対策部長(当時)が性暴力をふるうという事件が発生した。同年10月頃、長崎市は関係者に対して内部調査を開始した。ところが、その直後、当該部長は自殺してしまい、結局、調査は加害者の主張のみを聴取するにとどまったまま終了してしまった。田上富久市長は記者会見を開き、当該市幹部が自死したことと記者へのわいせつ行為についての報道などで混乱を招いたことを詫びた。しかし、被害者への謝罪はなかった。
2014年、日本弁護士連合会(日弁連)において「職務上の優越的地位」を濫用して市幹部が女性記者に対して性暴力をふるい、女性への人権侵害があったこと、さらに別の市幹部も被害者を貶める虚偽の情報を広めて二次被害を引き起こしたこと、そして同市がこれを放置したことを認定し、同市に対し、女性の名誉回復に向けた謝罪文とさらなる性暴力の防止策を徹底するよう勧告した。しかし、同市は、日弁連の調査は不十分であるとして勧告を受け入れなかった。その後も同市の態度は変わることがなかったため、2019年4月、女性は損害賠償を求めて同市を提訴した。
圧倒的な力関係の中で情報を引き合いにして報道記者の人権と自由を奪うことは、報道の自由だけでなく市民の知る権利をも侵害する。世界的に#MeToo運動が広がる一方で、同じく世界に知られる平和都市・長崎が被害者への謝罪も救済もしていない。そればかりか、今でも市議会においてこの問題が出ると「被害者はどっちだ」などとヤジが飛び、二次被害ともいえるような状況がつづいている。このような状況となっている点からノミネートした。

6.トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、自動車の生産・販売を主な事業とする世界的企業である。
報道によると、2015年4月に入社した男性社員は、2016年3月に本社配属された翌月から、日常的に上司から「バカ、アホ」と言われ、「こんな説明できないなら死んだ方がいい」とも言われたという。また、個室に呼び出されて「俺の発言を録音していないだろうな。携帯電話を出せ」などと詰め寄られたこともあった。
その後、同社員は3カ月間休職。復帰したものの「死にたい」などと同僚に漏らすようになり、2016年10月に社員寮の自室で自死した。死亡時28歳だった。男性の死後、遺族は豊田労働基準監督署(愛知県豊田市)に労災申請した。2019年9月、豊田労基署は、男性はパワハラが原因で適応障害を発症し、職場復帰後も治癒していなかったとして、男性の自死を労働災害として認定した。また、同社では、2002年にも過労死事件が発生している。
パワハラが社会的に大きな問題になる中で、日本を代表する大企業が新入社員を短期間に自死まで追い込んだ事案であり重大であることからノミネートした。

7.三菱電機株式会社(メルコセミコンダクタエンジニアリング株式会社)
三菱電機株式会社は、家電から発電機まで様々な電気製品を製造するメーカー企業であり、我が国の代表的な大企業である。また、メルコセミコンダクタエンジニアリング株式会社(以下「MSEC社」)は、三菱電機パワーデバイス製作所(福岡市)内に本社を置く三菱電機の子会社であり、MSEC社の役員の過半数は、三菱電機の社員であるという。
報道によると、2017年末、MSEC社では、当時40代の技術者が自死し、2019年10月に但馬労働基準監督署(兵庫県豊岡市)によって長時間労働による労災であると認定された、とのことである。三菱電機グループでは、2014年以降に、社員が自死したり精神障害を発症したりしたケースが判明したのは、これで3人目となる。また、三菱電機では、2014年~17年にシステム開発の技術者や研究職の男性社員5人が長時間労働が原因で労災認定され、うち2人が過労自死だったことも報道されているところである。
こうしたことから、三菱電機は、「ブラック企業大賞2018」の大賞を受賞した経歴もある。複数の過労自死を出した大企業の子会社において、新たな過労自死が発生していることは重大であることから、三菱電機及びその子会社であるMSEC社をノミネートした。
なお、三菱電機では、20代の男性新入社員が2019年8月に自死し、教育主任だった30代の男性社員が自殺教唆の疑いで兵庫県警三田署によって神戸地検に書類送検され、自死の現場には、教育主任から「死ね」などと言われたことなどを書いたメモが残されていたとの報道もなされおり、衆目を集めたところでもある。

8.吉本興業株式会社
吉本興業株式会社は1912年(明治45年)に創業され、お笑い芸人を中心に総勢6000人以上のタレントが所属する日本最大級の芸能プロダクションである。
今年4月の新聞各紙報道によると、同社および同社の子会社は従業員に過労死ラインを超える月100時間を超える残業をさせていたことから2012年3月に新宿労基署から是正勧告を受けた。また2018年8~9月には、就業規則を変更したのに労基署に届け出ていなかったり、休日勤務の割増賃金を十分に払っていなかったことなどから再度是正勧告を受けた。
さらに今年6月以降、同社に所属する複数のタレントが振り込め詐欺グループの宴会に金銭を受け取って参加していた所謂「闇営業」問題が発覚したが、この騒動が報じられる過程では同社と、同社にマネジメントを委託する所属タレント間でのギャランティ配分が不公平であること、またタレントとの間で正式な所属契約書をかわしていないことなどが指摘され問題になった。さらに、同社社長の所属タレントに対する言動がパワハラであるという指摘がなされ、議論を呼んだ。
近年、芸能界において多くのタレントが所属事務所との間で不公平な契約を甘受させられ、契約解除したタレントに対しては事務所が放送局などに圧力をかけ出演できなくすることもあるとされるなど、「芸能界における労働問題」がクローズアップされている。また、タレントの労働者性についても様々な議論がある。そうした問題の、ひとつの象徴事例として同社をノミネートした。

9.楽天株式会社
楽天株式会社は、ネット通販「楽天市場」を展開するなどインターネット関連の幅広い事業をおこなっている企業である。
報道によると、2016年6月、当時、社員だった男性は、会議で激高した上司から首付近をつかまれ、壁際に押しつけられたという。その際、頸髄を損傷して手足にまひが残り、うつ病を発症して現在も療養している。男性によれば、社内のパワハラ相談部署に掛け合ったが調査されず、配置転換の希望も受け入れられなかったため、暴行の1か月後に退職せざるを得なかった、とのことである。
男性は、渋谷労働基準監督署に労災申請をおこない、2017年8月、渋谷労基署は労災認定した。男性は、楽天株式会社に対して、「会社として責任を認めてほしい」と求めている。会社内での暴行事件は、零細企業において発生した前例は相当数存在するが、プロ野球球団を運営するような大手企業において、しかも会議中に暴行事件が発生するなどという事案は極めて稀である。大企業における企業内暴行事案として看過できないためノミネートした。

2019年12月6日金曜日

第8回ブラック企業大賞2019 授賞式&シンポジウムの開催

最悪の企業はどこ?どうすれば闘える?
 第8回 ブラック企業大賞2019
 授賞式&シンポジウム


 パワハラ、セクハラ、残業代未払い、長時間労働、派遣差別、偽装請負・・・。日本の労働環境はいまますます悪化の一途をたどっています。それらの職場はここ数年で「ブラック企業」と称され、社会的にも注目されつつあります。しかし個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではありません。さらにはブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析も不十分であるため、きわだったブラック企業の存在は一時的に取り上げられても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
 そこで私たちは、ブラック企業の個別の事例はもちろんのこと、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざして2012年に「ブラック企業大賞」を立ち上げました。今年で8回目を迎える2019年は、12月23日に授賞式&シンポジウムを開催します! 多くの話題と批判を集めた企業をノミネートし、その実態と問題の背景・原因を鋭くつっこみます。ぜひ多くの方の参加をお待ちしています。
※ノミネート企業の発表及びウェブ投票開始は、12月13日(金)となります。


【授賞式概要】

●日時:2019年12月23日(月)18:30~20:50(開場18:00)

●会場:会場:全水道会館 4F 大会議室
 会場地図:http://www.mizujoho.com/zensuido/access/tabid/82/Default.aspx

●資料代:500 円

●主催:ブラック企業大賞実行委員会

2018年12月19日水曜日

ブラック企業大賞2018 授賞式



 最悪の企業はどこ?どうすれば闘える?
 第7回 ブラック企業大賞2018
 授賞式&シンポジウム


 パワハラ、セクハラ、残業代未払い、?時間労働、派遣差別、偽装請負・・・。日本の労働環境はいまますます悪化の一途をたどっています。それらの職場はここ数年で「ブラック企業」と称され、社会的にも注目されつつあります。しかし個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではありません。さらにはブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析も不十分であるため、きわだったブラック企業の存在は一時的に取り上げられても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
 そこで私たちは、ブラック企業の個別の事例はもちろんのこと、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざして2012年に「ブラック企業大賞」を立ち上げました。今年で7回目を迎える2018年は、12月23日に授賞式&シンポジウムを開催します! 多くの話題と批判を集めた企業をノミネートし、その実態と問題の背景・原因を鋭くつっこみます。ぜひ多くの方の参加をお待ちしています。

【授賞式概要】

●日時:2018年12月23日(日・祝)14:00~16:45(開場13:30)

●会場:会場:全水道会館 4F 大会議室
 会場地図:http://www.mizujoho.com/zensuido/access/tabid/82/Default.aspx

●資料代:500 円

●主催:ブラック企業大賞企画委員会

2018年12月5日水曜日

第7回ブラック企業大賞2018 ノミネート企業発表!

2018125日、ブラック企業大賞実行委員会は、2018年のブラック企業大賞のノミネート企業9社を発表いたしました(以下、50音順)。ウェブ投票も開始しましたので(~122217:00締切)、ぜひご参加ください。

株式会社ジャパンビバレッジ東京
株式会社ジャパンビバレッジ東京は、サントリー食品インターナショナルグループ傘下の自動販売機オペレーション大手・ジャパンビバレッジホールディングスの子会社である。
同社は、2017 年末に足立労働基準監督署により「事業場外みなし労働時間制度」の違法適用を指導され、違法な長時間残業があったとして是正勧告を受けた。この労働者の残業時間は月100 時間を超えていたという。
しかし、同社はこの制度を違法適用したことで、1日10 時間を超える自動販売機の補充などの労働に対して、7時間45 分の給与しか支払っていなかった。
また、ある支店の支店長がクイズを出し、正解者にのみ有給休暇の取得を認める「有給チャンス」とよばれるパワハラの存在も明らかとなり、メディを賑わせた。言うまでもないが、有給休暇の取得は労働者の権利であるので、「クイズに正解すること」をその取得条件とすることは法律違反である。この「有給チャンス」問題に関連して、同社の複数の管理職が処分されたという。
自動販売機でいつでも飲み物が買えるのは、その自動販売機に飲料を補充する労働者があってのことであるが、その利便性の裏には、無理のある労働条件や有給休暇すらまともに取らせないパワーハラスメントなどの横行があったことは、世に広く知られるべきことであるのでノミネートした。

株式会社日立製作所・株式会社日立プラントサービス
株式会社日立製作所は、日立グループの中核的企業であり、日本を代表する電機メーカーである。会長の中西宏明氏は、日本経団連会長を務めている。また、日立プラントサービスは日立製作所のグループ会社である。
2013 年に同社に新卒入社した20 代の労働者が、日立プラントサービスに在籍出向中、精神疾患によって労災認定された。この労働者は富山県の工事現場で設計・施工管理監督をしていたが、月100 時間を超える長時間残業が頻発し、最大で月160 時間を超えていた。
さらに、所長から「いらない」「着工まで不要」「めざわりだから帰れ」「仕事辞めてしまえ」などの暴言を受け続け、労働時間を勤怠記録に記入する際には「考えてからつけるように」と言われ、労働時間の過少申告に追い詰められた。さらには座っていた椅子を蹴られており、これらの長時間労働やパワハラによって精神疾患を発症した。
加えて、同社では山口県の笠戸事業所において、数百名のフィリピン人技能実習生を不正に働かせていたとして、法務省が技能実習適正化法違反の疑いで同社を調査している。報道によれば、彼らは配電盤や制御盤を作る「電気機器組み立て」を習得するはずが、窓や排水パイプ、カーペットやトイレを鉄道車両に取り付ける作業しかさせられていなかったという。技能実習生の在留資格の更新ができないことを理由に、すでに99 名が解雇されている。
長時間労働とパワハラによって深刻な労災が発生したこと、また、外国人技能実習生に対する扱いの不適切さからノミネートした。

株式会社モンテローザ
株式会社モンテローザは「白木屋」「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」「山内農場」などの居酒屋チェーンを展開する外食企業である。
2017 6 月、同社が福岡県福岡市で運営する「わらわら九大学研都市駅店」の店長(当時53 歳)が開店準備中に倒れ、致死性不整脈で亡くなった。遺族の労災申請を受けて福岡中央労働基準監督署が調査したところ、男性が亡くなるまでの3カ月間の時間外労働が過労死ラインとされる月80 時間におおむね達していると確認されたことなどから、今年8 7 日、労災と認定された。
男性のいとこがインターネットで発表した告発漫画によれば、男性は生前、友人とのLINE で「15 時から深夜3時まで勤務。それから6 時台の始発まで帰れず、8 時前にやっと帰宅。そのあと12 時には起きないといけない」「地獄です」などと漏らしていた。
モンテローザでは各店に勤怠管理ソフトを導入しており、亡くなった男性も記録上は週に2 日休み、休憩も取れていることになっていた。だが上記漫画や一部報道によれば、このソフトは一種の「労基署対策」であり、実際はサービス残業や休日出勤、休憩なしの労働がまかり通っていたという。
外食産業における長時間労働の結果の過労死という幾度となく繰り返される悲劇は、けっして看過できないためノミネートした。
  
ゴンチャロフ製菓株式会社
ゴンチャロフ製菓株式会社は神戸市に本社を置き、チョコレート・焼き菓子などの洋菓子の製造販売及び喫茶経営を手がけている。
2016 6 月、同社の工場に勤務していた当時20 歳の男性が電車に飛び込んで自殺した。これが長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因として、2018 6 月に西宮労働基準監督署により労災認定された。
報道によると、チョコレート製造などに携わっていた男性は、廃棄品は牧場に回されることから、ミスをすると「牛のえさ、作りに来とんか」と責められ、辞意を申し出ると「お前の出身高校からはもう採用しない」と叱られるなど、上司からパワハラを受けていたという。
さらに男性は2015 9 月~12 月には月約80100 時間の残業をしており、同労基署は「業務による強い心理的負荷が認められる」とした。長時間労働とパワーハラスメントによって20 歳の若い命が奪われるという痛ましい事例であり、近年社会問題となっている長時間労働とパワーハラスメントを象徴する事例としてノミネートした。

財務省
財務省は、国家予算の編成などを担う省庁の1つであり、行政の中枢に位置付けられる国の重要機関である。
今年4月、当時、財務省の事務方のトップである事務次官が、テレビ朝日の女性記者に対して、取材中に性的な言動を繰り返していたことが報道された。同省の最高責任者である麻生太郎財務大臣は当初、事実関係の確認には双方から意見を聴くべきだなどとし、被害女性に名乗りでるよう促す一方で、事務次官がはめられた可能性などにも言及した。
その後、財務省は顧問弁護士に調査を委託。同月27日の記者会見で、事務次官によるセクシュアルハラスメント(セクハラ)があったと判断したことを発表した。なお、事務次官側はセクハラについて否定している。
この過程で麻生大臣は、日本には「セクハラ罪という罪はない」と発言し、セクハラを軽視する態度を崩さなかった。また、セクハラ行為を防止することが第一であるはずなのに、「男を番記者にすればいい」などと女性記者を排除するような発言もあった。こうした麻生大臣の言動は、セクハラが深刻な社会問題であることの認識を欠いていると指摘せざるを得ない。
現在、健全な民間企業はセクハラなどのハラスメントをなくそうと努力している。にもかかわらず、「女性活躍」を標榜する政府の中枢機関で起きたセクハラ事件に対して、その対応があまりにお粗末であったと言わざるを得ない。その悪影響は計り知れないほど大きい。そこで、民間企業ではないが特別にノミネートした。

スルガ銀行株式会社
スルガ銀行は静岡県沼津市に本店を置き、東京ほかの大都市でも営業展開していた地方銀行である。同行では、今年5 月に破産手続開始が決定し破綻した不動産会社「スマートデイズ」の勧誘のもと同社のシェアハウスに投資していた一般投資家らに不正な融資をしていたことが判明し、今年9 7 日にはこの問題に関する第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)の調査報告書が公表された。これにより、同行が行員たちに過大なノルマを押し付ける一方、達成できない人に対しては凄絶なパワーハラスメントを行っていたことが発覚した。
上記報告書によれば、第三者委ではスルガ銀行の全行員を対象にアンケート調査を実施。その結果、「首を捕まれ壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴った」「数字ができないなら、ビルから飛び降りろといわれた」、「ゴミ箱を蹴り上げたり、空のカフェ飲料のカップを投げつけられた」「死んでも頑張りますに対し、それなら死んでみろと叱責された」「ものを投げつけられ、パソコンにパンチされ、お前の家族皆殺しにしてやるといわれた」…などの回答が多数寄せられたとされており、第三者委もこうしたパワハラの蔓延が不正融資の温床になったとの見方を示している。
パワハラ行為それ自体のひどさもさることながら、この放置・励行が最終的には社会全体に害を及ぼすことの実例としてノミネートした。

野村不動産株式会社
野村不動産株式会社は、不動産業界の最大手企業である。野村不動産では、「裁量労働制」が違法適用されていた2016 年9月、50 代の男性社員が過労自殺していたことが今年3 月発覚した。
同社では2005 年、会社の中枢で経営企画の立案や情報分析などを行う社員が対象の「企画業務型裁量労働制」を約600 人の社員に適用した。だが実際には、マンションの営業担当など本来は適用の対象とはならない業務の担当者がここに多数含まれており、亡くなった社員もこれを適用された結果、一ヶ月の残業時間が180 時間を超えることもある長時間労働を強いられていた。
上記の過労自殺が労災認定された2017 12 月には、こうした裁量労働制の違法適用とそれに伴う違法残業、残業代未払いなどにより同社の東京本社など5 つの事業所が労働基準監督署から是正勧告を受けたほか、宮島誠一社長が東京労働局から是正の特別指導を受けている。
裁量労働制が違法な長時間労働の温床となっている事実を示し、その悪用が最悪の労災事故を引き起こした事例としてノミネートした。

三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は、家電から発電機まで様々な電気製品を製造するメーカー企業であり、我が国の代表的な大企業である。
同社では男性社員5人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して2014~17年に相次いで労災認定されていたことが発覚した。5人はシステム開発の技術者か研究職で、そのうち2人は過労自死しており、3人には裁量労働制が適用されていた。裁量労働制が適用された3名の中には過労自死した社員も含まれていたという。
同社・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務し、2016年2月に過労自死した男性社員は亡くなる4カ月ほど前から法定時間を上回る残業がそれ以前の約5倍に急増し、月80時間前後の残業が続いたという。この時期に精神障害が発症したとして、2017年6月に労災認定された。裁量労働制が適用されていたため「残業」扱いにもなっていない。
また、同社名古屋製作所(名古屋市)の技術者の男性社員(当時28歳)は、2012年8月に過労自死した。2011年にシステム開発プロジェクトの担当に任命されたが、システムに次々と不具合が発生した。完成が予定に間に合わず、遅れを取り戻すために月100時間を超す長時間労働が数カ月続き、精神障害を発症。2014年12月に労災認定された。
長時間労働による過労死という深刻な事故を起こしながら、同社は再発防止できず、4年間に2人もの過労自死を出したことは極めて重大であり、短期間に長時間労働を原因とした労災が5件も認定されたことも異常な状況であるため、ノミネートした。


※株式会社ジャパンビジネスラボに関しましては、当該企業と労働者との間における訴訟につき、先日出された高裁判決を踏まえ、現在はノミネート理由の掲載について非掲載としています。同判決の確定状況を見たうえで最終的に掲載・非掲載を判断いたします。
(2019年12月10日)

2018年11月30日金曜日

ブラック企業大賞2018 ノミネート企業発表と授賞式の日程が決まりました

★最悪の企業はどこ?どうすれば闘える?★
 第7回 ブラック企業大賞2018 ノミネート企業発表は12月5日


 このたび、ブラック企業大賞企画委員会は、12月5日(水)14:00~15:00に「第7回ブラック企業大賞2018」のノミネート企業を発表する記者会見を行います。
 記者会見の終了後に、本ウェブサイトにノミネート企業を掲載し、皆様からのウェブ投票を開始いたします。

 2018年の授賞式につきましては、下記の通り開催いたしますので、ぜひご参加ください。



 最悪の企業はどこ?どうすれば闘える?
 第7回 ブラック企業大賞2018
 授賞式&シンポジウム


 パワハラ、セクハラ、残業代未払い、?時間労働、派遣差別、偽装請負・・・。日本の労働環境はいまますます悪化の一途をたどっています。それらの職場はここ数年で「ブラック企業」と称され、社会的にも注目されつつあります。しかし個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではありません。さらにはブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析も不十分であるため、きわだったブラック企業の存在は一時的に取り上げられても、企業全体・働く場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。
 そこで私たちは、ブラック企業の個別の事例はもちろんのこと、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざして2012年に「ブラック企業大賞」を立ち上げました。今年で7回目を迎える2018年は、12月23日に授賞式&シンポジウムを開催します! 多くの話題と批判を集めた企業をノミネートし、その実態と問題の背景・原因を鋭くつっこみます。ぜひ多くの方の参加をお待ちしています。

【授賞式概要】
●日時:2018年12月23日(日・祝)14:00~17:00(開場13:30)
●会場:会場:全水道会館 4F 大会議室
 会場地図:http://www.mizujoho.com/zensuido/access/tabid/82/Default.aspx
●資料代:500 円
●主催:ブラック企業大賞企画委員会

2017年12月24日日曜日

第6回ブラック企業大賞2017 大賞・各賞発表いたしました

2017年12月23日(土・祝)、第6回ブラック企業大賞2017授賞式を開催し、大賞ほか各賞の発表をいたしました。以下に各賞および授賞理由をご報告いたします。

●ブラック企業大賞: 株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西

 引越社グループは、引越社関東所属の男性営業社員をシュレッダー係に配転し、懲戒解雇をしました。懲戒解雇の理由を「罪状」などと記載し、男性の顔写真を入れた書類(罪状ペーパー)を、貴社グループの店舗へ掲示。さらに、貴社は同様の文面を全従業員に送る社内報へ掲載し、送付しました。
 今年8月、東京都労働委員会はこれらの行為は、男性が労働組合(プレカリアートユニオン)に加入したことによるものであるとして、不当労働行為であると認定しました。また、東京都労働委員会は、貴社が労組へ加入した従業員らに対し、労組からの脱退を促す行為をしたとして、これも不当労働行為であると認定しています。
 引越社関東は、2年前に開催された「ブラック企業大賞2015」において「ウェブ投票賞」「アリ得ないで賞」をW(ダブル)受賞しています。その際「ブラック企業大賞をエサに企業恐喝まがいの行為をし、金銭を要求することが真の目的なのかもしれない」などと、ウェブ媒体で副社長は事実無根の大嘘を述べ、恥を上塗りしました。
 解雇撤回後も約2年にわたり、男性営業社員に終日シュレッダー業務を強いるなどの、人権侵害行為を続けた引越社グループ。その漆黒なるブラックぶりを早期に改め、貴社がまともな企業へ再生することを切に願い、ここに「ブラック企業大賞2017」の大賞を授与します。

●特別賞:大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

 今年3月、東京オリンピック・パラリンピックで使用するメインスタジアム「新国立競技場」の建設工事の現場で働く、当時23歳の男性が自死しました。この事案については新宿労働基準監督署が労災認定しています。
 新国立競技場の建設工事は、大成建設株式会社が元請としておこなっており、その一次下請け企業である三信建設工業株式会社に男性は雇用されていました。男性が自殺する前の1カ月の残業は約190時間であった。この事件を機に、東京労働局は、「新国立競技場」の建設工事に関わる約760社を調査した結果、37社で違法な時間外労働が確認され、新宿労基署が是正勧告をしました。
 東京オリンピックの施設を無理な工程で急がせていたことが、この痛ましい自死の背景にあります。人の死を招くほどの長時間労働は必要なのでしょうか? オリンピックの美名の下に若いいのちが失われた事実を私たちはけして忘れてはならない。よって、ここに「ブラック企業大賞2017」特別賞を授与します。

●業界賞:新潟市民病院

 貴院は2016年1月、当時37歳だった研修医を過労自殺に追いやりました。研修医が亡くなる前の残業時間は月平均で過労死ラインの二倍に相当する187時間、最大で251時間に及び、これは本年のノミネート企業中最多です。
 この悲劇が新潟市の運営する公立病院で起きたという事実も、強調されるべき点でしょう。全国医師ユニオンが今年11月に公表した勤務医労働実態の調査結果によると、全国の勤務医のうち過労死ラインである月80時間を超える時間外労働を行っている医師は常勤医で4.9%、当直を行う常勤医で7.3%、初期研修医8.5%、後期研修医では18.9%に上り、このデータ通り近年、医師の過労死が多数報告されています。
 さらに日本医療労働組合連合会(医労連)が2013年に実施した看護職員の労働実態調査調査では、全国の看護師の125人に一人が過労死ライン超えの働き方をしているとされています。人の命を救う医療・看護の現場において、その実務に携わる労働者たちの命が日常的に脅かされているなど、あってはならないことです。そこで貴院に対し「業界賞」を進呈し、これが全国の勤務医・看護師たちの労働環境が一日も早く適正化されるための、一助となるよう願うものです。

●ブラック研修賞 ゼリア新薬工業株式会社

 貴社は2013年5月、ビジネスグランドワークス社に委託し行っていた新入社員研修において、当時22歳の新入社員を精神的に迫害し、追い詰め、死に追いやりました。
 過去のいじめ体験や、本当にそのような事実があったかさえ定かでない吃音について大勢の同僚の前で告白させたその研修内容は、貴社の業務をこなしていく上で全く必要のないものであり、無意味です。仮に意味があったのだとすれば、それは貴社が、従業員は使い捨ての道具でしかなく人格は不要とみなしていたがゆえに、従業員の自我を崩壊させる積極的な必要性を感じていた、という以外の理由は考えられません。これは許されざる人権侵害です。
 一方で残念なことに、貴社以外の多くの企業もビジネスグランドワークス社、あるいは同種の別企業に新人研修を委託し、洗脳まがいの研修を実施してきた現実から目をそむけることもできません。そこで貴社に「ブラック研修修賞」を進呈し、これにより、従業員に人格を認めない貴社のような企業が少しでも減ることを願うものです。

●ウェブ投票賞 日本放送協会(NHK)

 貴社は、第6回ブラック企業大賞における一般市民からのウェブ投票において、3855票(ウェブ投票3848票、授賞式会場での直接投票7票)と、他企業と比べ圧倒的に多い票数を得ました。
 これも貴社の労働者へのひどい仕打ちがインターネット等を通じ、全国に知られることとなり、多くの人たちからの批判が生まれていることの結果です。ここにウェブ投票賞を贈呈し、一日も早い改善を求めるとともに、貴社が今後より一層労働問題の報道に取り組むことを望みます。





2017年12月20日水曜日

第6回 ブラック企業大賞2017授賞式&シンポジウム

最悪の企業はどこ?どうすれば闘える?
第6回 ブラック企業大賞2017授賞式&シンポジウム

パワハラ、セクハラ、残業代未払い、長時間労働、派遣差別、偽装請負・・・。
日本の労働環境は、ますます悪化の一途をたどっています。それらの職場はここ数年で「ブラック企業」と称され、社会的にも注目されつつあります。しかし個別事例の調査やその問題の発信・解決も簡単ではなく、ブラック企業で働く当事者は、不当な処遇を受けていても声をあげられる状況ではありません。さらにはブラック企業を生み出す社会・経済的な構造についての分析も不十分であるため、きわだったブラック企業の存在は一時的に取り上げられても、企業全体・働く現場全体の質の向上にはなかなか結びついていません。

そこで私たちは、ブラック企業の個別の事例はもちろんのこと、それら企業を生み出す背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくることをめざして「ブラック企業大賞」を立ち上げました。12月23日、その授賞式&シンポジウムを開催します!ぜひ多くの方の参加をお待ちしています。

【授賞式概要】

●日時:2017年12月23日(土・休)14:00~16:30(開場13:30)

●会場:全水道会館 4F 大会議室 アクセスはこちら

●資料代:500 円

●主催:ブラック企業大賞実行委員会

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